「地方と都会」という比較がよくされるわけですが、こう考えると、人間にとってほんとうに必要なものは地方にある、と思わず言いたくなってしまう自分がおります。
しかし、こちらの方に言わせると、「こちらはこちらなりに問題がある。子供は外で遊ばず（最近は物騒なのでうかつに遊べないということもあり）、家でテレビゲームばかりやっている。自然の中で暮らしているぶん、かえって問題ですよ」という声もお聞きします。
都会の文化は都会の中にとどまらず、地方にも伝播していく。かつては高度経済成長のもとで農村から大勢の方が都会に来て地方文化が都会の中でいろいろな豊かさをもたらしていきました。けれどもその結果、地方の農業の担い手はどんどん高齢化して場所によっては過疎化を招いている……。
そう考えると、都会からＵターン、Ｉターンで地方にやってこられる方が、そうして都会に根付いたもとの地方文化をもう一度地方に持ち帰る、ということもあるかもしれません。スローフード運動は文化的な運動である……とイタリア本部の方は繰り返し述べております。何か、農業、酪農業、漁業を通じて、人、モノ、文化がもう一度日本のなかをダイナミックにぐるぐる回転していくお手伝いができれば、と微力ながら考えているような次第です。
