歴史
温海(あつみ)カブの来歴は不明であるが、山形県に現存する在来野菜の中でも最も古い歴史を持つものの一つである。
松竹往来(1672)に温海カブの記載があることから、300〜400年以上前にすでに温海の特産物であったことがわかる。また江戸時代の寛政・文化(1800年前後)の古文書にカブ一個が4文に相当(18個で米一升に相当)したことが記されており、当時から商品価値が高かったことを物語っている。
鶴岡市温海地区(旧温海町)の焼畑で古くから作られてきたが、現在、庄内全域の地町村の転作畑で大量に生産され、「庄内赤カブ」の名称で甘酢漬けに加工、県外にも出荷されている。
栽培方法と収穫時期
温海地区では今も食味の良いカブを生産するために焼畑にこだわって栽培を続けている。8月のお盆前後に火入れをおこない、火入れ後当日か翌日に種子を播く。
途中、間引きを1〜2回、おこなって、適当なサイズになったカブを順次10月から11月末(降雪前)まで収穫する。
焼畑にする杉の伐採地が杉材の価格低迷にともなって極端に少なくなって焼畑地を確保するのが困難になったため、現在は転作放棄地あるいは過去の焼畑放棄地の雑草を焼いて焼畑にしている例が多い。
また、つらい作業が伴う焼畑そのものも次世代にお担い手を確保しにくくしている。 温海カブの甘酢漬けは県外でも広く人気があり、需要も大きい。 しかし焼畑地と担い手の確保の将来を考えると焼畑で作られる温海カブの存続は不安な状況にある。
甘酢漬けの出荷時期
旬は10月中旬から冬期間であるが、一部周年で供給されている。
特徴
赤い丸カブで肉質が良くしまり、適度な甘さと辛さを持っており、漬物に向く。 葉は開き、表面に毛がある。B型種皮を持つ西洋カブである。
種子の確保と入手
温海町外で栽培される温海カブの種子も一部の例外を除いてほとんど全て鶴岡市一霞の農家の自家採取による。農協や種苗店を通じて入手可能。
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